利益の方程式とオンライン英語業界

『利益の方程式』 著者:勝間和代

前に買って読んだものを再読。勝間さんの本は、叩く人も多いが、全体的に質が高い。特に今回の本は経営者、起業家にオススメである。

 

内容は、利益を出すための方程式として、

  1. 顧客当たり単価
  2. 顧客当たり獲得コスト
  3. 顧客当たり原価
  4. 顧客数

の4つの要素を出している。この中で、著者は、1. 顧客あたり単価。すなわち顧客単価が最も重要であると述べている。

深く同意である。もちろん組み立てると、

 

利益=(顧客単価- 顧客当たり原価-顧客獲得コスト)×顧客数

 

という方程式が成り立つことになる。

 

 

しかしこと、我身を置くオンライン英語業界、

もっと大きくするとIT業界では、

勝間氏の重要視する顧客単価はあまり重要視せず、「顧客数」ばかりに目がいっている。

 

また、周囲も顧客数の発表に強く反応する→そして企業が顧客数ばかりに目をやる(以下同)。

 

結果、顧客獲得コストもあがっていき、顧客単価も著しく下げる価格競争がはじまり、最終的な利益がしばらく見込めない消耗戦へと突入する。

 

IT業界はそれでもいい。

 

IT業界の一般的なモデルは、システム(またはプラットフォーム、デジタルコンテンツなど)を作り、そこに何人の人を集められるかが勝負。

シェアを獲得すればするほど、開発費の計上も、人数に相対して安くなっていき、最終的に利益が出やすいビジネスモデル体質へと変わる。また、シェアを獲得すれば宣伝効果も生まれ、顧客獲得単価に貢献できる。

後者の「宣伝効果」理由は、そのままオンライン英語業界にも当てはまるので重視していいと思う。

ただし、前者の理由、すなわちマーケットシェアを獲得すれば、スケールメリットが活かせるという点は、現在のオンライン英語業界にはあてはまらないと思う。

 

その理由は、現在のオンライン英語学校は、システムではなく、人メインで成り立っているビジネスモデルである。

そして、その””が著しく不安定なところがあり、結果として、固定費であるはずの管理費が変動費化していかざるをえないからだ。

 

わかりやすいようにもっと噛み砕いて説明すると、

例えば、代表的なフィリピンオンライン英語学校を例とする。その業界では講師の人件費が3割前後と言われている。

だから、変動費が3割、粗利7割で、ずっと伸びていくビジネスモデルと考えるのはあさはかだ。

 

あまり言いたくはないが、日本人に比べて、外国人全体が不安定である中でも、フィリピンの講師の不安定さは業界でも有名である

(彼らからしたら、日本人の仕事の安定さは異常なのだろう)。

そして授業の成功率も高くない(回線事情、交通事情など)。

 

こうした事から、講師を増やせば増やすほど、それを管理する費用があわせて増えていく。

 

それは本来の固定費と呼べる範疇を超えるほどにである。(生徒数増加=講師数および管理費用の増加。)

*サポート管理をしないと宣言する、またはサポート管理を日本人でない安い外国人に任せ、管理費用を増加させないという方法もあるが、これはサービス先進国、日本人向けには適さないやり方なのでここでは例外として置いておく。)

 

 

結果、業界で最もシェアをとったとしても、それにより、物販などのように調達価格をスケールメリットで安く仕入れられるというわけでもなく、システム開発費の一人あたり分が安くなるというわけでもない(実際の変動費が大きいため)

 

また、不安定な講師によるレッスンは継続率も低くなるため、広告宣伝費も相変わらず大量投下しないと生徒数の漏れを防ぐことができない。

 

したがって、会員数を評価軸にあげて、メリットを享受できるのは、一般のIT業界であって、現状の(フィリピン)オンライン英会話は、不安定な人、環境のダブル不安定要因で成り立っている、このことをきちんと理解しておく必要がある。

 

それでないと、意気込んでオンライン英会話業界に参入した後、利益の方程式が狂ってくることなり上手くいかなくなることを肝に銘じておきたい。

 

オンライン英会話のEcom英語ネットイラスト

現状の人海戦術的なオンライン英語サービスのやり方では、無理して業界トップシェアをとっても、マスコミが取り上げてくれる宣伝効果以外の、”勝者総取り(winner takes all)”といったメリットを得ることは難しいのではないかと考えている(もちろん宣伝効果は素晴らしい)。

 

*お隣の英語学習大国、韓国や中国だと、日本人ほどサービス品質にこだわらないので、単純に講師費用だけが変動費として増えて、サポート管理などの固定費があまり増えていかずにやっていけるみたいですね。

次回は、”業界トップシェアとは何か?”などについて触れらればと思っています。

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