”合理的な豚”から見る、オンライン英会話業界

前回、

相手プレーヤーがいることで、本来取るべき手法が取れなくなってしまう囚人のジレンマによるゲーム理論

を取り上げたが、

今回は同じゲーム理論の「合理的な豚」から、オンライン英会話業界を考察してみたい。

 

大手の戦略、弱者の戦略それぞれ

合理的な豚とは、

右のイラストにあるように、大きな豚と、小さな豚が檻で囲まれた餌場の前にいる。

餌は豚の目の前にあるが、それを食すためには、反対側にあるボタンを押して、檻を開けなくてはならない。合理的な豚

大きな豚は、当然食べる量も多く、移動でき
るスピードも早い。小さな豚は、反対に食べる量も少なく、移動できるスピードも遅い。

 

このような場合、2つのプレーヤーはどのように動くのであろうか?

 

まず、小豚はボタンを押しには行けない。もし行けば戻ってくる間に大きな豚に餌を全て食べられてしまうからだ。

一方で、大豚は、自分がボタンを押しに行けば、戻ってくる間に、小豚に、60%もの餌を食べられてしまう。

わざわざ移動するカロリーまで使ってそれでは損だ。動きたくない。

しかし、動かなければ餌は手に入らない(なぜなら小豚が行く可能性は0に近い)。カロリー消費の多い大豚は不利だ。

 

なので、2匹の豚が合理的であるとすると、

本来ならば強者であるはずの大豚が、餌の多くをとれず、弱者であるはずの小豚が餌の多くを取る。そんな状況が生まれてしまう。

これは今のオンライン英会話業界にも当てはまることだと思う。

 

オンライン英会話企業のプレーヤーが、それぞれ合理的に動くとどうなるのか?

1つが、オンライン英会話市場開拓。

 

2004年頃から出てきた新しい市場なので、利用度はまだ低い。

強者プレーヤーが広告や宣伝をがんがんうって、無料体験をやって餌場の檻を開けてくれる。そして餌場の檻が開いてくるのを待つ弱者プレーヤー。

利益の方程式とオンライン英語業界」の項でも述べたが、

不安定な人とインフラが絡み、業務安定性が極端に低いビジネスモデル”では、

規模の利益(スケールメリット)というのは働き辛い。

 

そのため、今の形式のオンライン英会話のビジネスモデルの場合、積極的に広告を垂れ流しても、自身が大きな豚になっている可能性が高い。

2つ目が、他社の経験値の高い講師の採用、引き抜き

これは、EcomではNGにしている方策である。いわゆる引き抜きである。

強者プレーヤーでトレーニングをしてもらい、講師経験を積んだベテランになってきた講師を、弱者プレーヤーが引きぬくのである。

これは、強者、弱者プレーヤーにかぎらず起こることだが、実際当校でもやられている。もちろんそれはとても合理的で理にかなった方法である。

相手プレーヤーに採用費や、トレーニング、実務経験をさせておいて、出来上がった講師を、自分の会社に参画させるのだから。

確かに合理的だが、しかしそれが続くと業界自体が荒んでくる。お互いが疑心暗鬼になる。

 

なので、Ecomでは、採用基準に、直近6ヶ月以内に、日本国内の同業会社に所属していた講師は選考すらしない、という決まりがある。

実際、同じ業界の他社所属の講師から、Ecomに移りたい、今の学校は嫌だというオファーは直接応募で何通も来ているが、6ヶ月以上の間がないと選考の遡上にも上げられない点を説明して、断っている。

アメリカ流、日本流、その他、基本をどれで行くかは、経営者の価値観の問題

 

アメリカ流ビジネスは合理的な世界といわれる。

 

しかし、モラルやしきたりといった非合理な価値観が通る”村社会”だと、

大豚と小豚は、協力して檻を開けたら、それぞれ7:3くらいで分けて餌を受け取る結果になっていたかもしれない。

 

もしかしたらそれを

”談合だ!”。

”TPPでグローバルにせよ!”

などと声高の人もいるかもしれないが、

合理性を求めるグローバルを受け入れず、日本的村社会だったら、大豚も小豚も、双方が幸せになれる満足が適切に得られたのかもしれない

と、このテーマを取り上げて思った。