レアジョブ社から解くフィリピンオンライン英会話ビジネスの構造

今までフィリピン系格安オンライン英会話は各社秘密主義のため、その実態が謎に包まれていました。

外部によく見せたいがために、すごく伸びてるイメージをアピールする会社もいましたが?でも実態は?という具合に???がいくつかつく感じでした。

 

しかし今回その中の1つ、レアジョブさんが上場するということで、提出資料から実態がいくつか分かるようになりました。これからフィリピンオンライン英会話ビジネスを始めようとする人の参考になればと思います。

 

(ちなみにうち(Ecom)は、ネイティブ高品質オンライン英会話という部類で、顧客層(ニーズ)が現時点であまり被らないので実は違う業界として見ています。外部からは一緒に見らがちですが・・・。)

 

レアジョブ社の提出目論見書開きましたが、長かったので興味のあった2点のみ拾いよみしました(出典:レアジョブ目論見書)。

 

開示時点では、フィリピン講師給与へ2割、フィリピン側管理費2割、日本側粗利6割のビジネスモデル

○原価率(売上に占める原価の割合):

 単位:千円 5期(H23-24) 6期(H24-25)
売上高 902,007 1,132,544
売上原価 368,925 476,117
原価率 40.9% 42.0%

 

まず原価率ですが、

オンライン英会話ビジネスでは、『講師報酬など、授業提供の元手』がこちらに入ります(採用活動費、フィリピンのオフィス代、スタッフ、講師給与など)。

これが約41%。

サービス価格に占める4割が原価、というのがフィリピンオンライン英会話の基準といえるのでしょう。

わかりやすくいうと1000万の売上があったら、約400万円がフィリピン側(内訳:講師給料には200万円程度、オフィスや採用活動費に200万程度)、残り600万円で日本側を賄っていくイメージ。

オンライン英会話サービスといった人的サービスの拡張主義のメリットが薄いのは、PCやスーパーなどのモノと違い、(講師の)大量仕入れを行っても、原価の低減に影響しづらい点です。ですので原価率は、4割、よくても3.5割を下回ることは難しいでしょう。

オフィスを用意しないホームベースティーチャー形式にすれば、原価率は2割になると思いますが、その分下記に述べる販管費(講師を管理する費用分)が増大すると思いますので、一緒です。

 

販管費が、変動費のように増えざるをえないビジネスモデル

○販管費率(売上に占める販売管理費の割合)

 単位:千円 5期(H23-24) 6期(H24-25)
売上高 902,007 1,132,544
販管費 507,027 728,073
販管費率 56.2% 64.3%

 

続いて販管費率。

通常のビジネスモデルでは、

販管費=『オフィスや人件費などの固定費部分』+『その他変動費部分(原価と一緒に増えていく補助的な部分)』

という要素に分解できます。

売上(粗利)が伸びても、固定費部分は一律なので、粗利に占める販管費の割合はどんどん少なくなり、利益が出やすくなります(損益分岐点超えからの利益拡張)。

ですが、

レアジョブ社の公開データを見る限り増えている!?

ただしこれは個人情報流出といった特別なことがあったり、今回の上場にあたって売上を最終期に積め込むなどからであったからだと予想でき、販管費率はおそらく常に変わらず56%くらいなのではと予想しています。

 

これは、販管費がほぼ売上に連動して増加している変動費の様相を呈しています。

 

フィリピン系オンライン英会話ビジネスの場合、

売上が増えても

⇒レッスン数の増加

⇒不安定なレッスン提供環境のため、日本人スタッフなどの管理費が変動費のように増えていく。

という状況になり、

常に利益率が恐ろしく低い、いつまで経っても損益分岐点を超えられないビジネスモデルなのでは?

と予測してしまいます。

 

危うい利益率と、単体では儲からないビジネス構造

 

当然こうしたことはレアジョブ経営者の方も理解しているはずで、今のフィリピン系オンライン英会話一本で行くのは無理で他の新規事業を模索しているものと思われます(あくまで私の予想です)。

 

算出した原価率と販管費の足した数値はおおよそよくて98%程度。

この場合、想定平均利益率3%程度でこんなレベルだと為替が10%動いたら一気に吹っ飛んでしまいます(特に今まで超円高に助けられていた構造もありますし)。

ですので、今回データから分かることは、

フィリピン系格安オンライン英会話では売上重視で伸ばしても損益分岐点をいつまで経っても超えられないビジネスモデルになりがちだ

ということです。

 

じゃぁどうするのか?

それはやはり、

”今ある資産は活かしつつ、新規事業で稼ぐ”

しかないのだと思います。

ただ新規事業と言っても全く畑違いのことを始めるのでなく、

利益率のよい『グループレッスン』や、『映像教育』、『英会話アプリ開発』などでもいいと思います。

また、幽霊会員率が多く、一部でドル箱と呼ばれる『法人や学校サービス注力』でもいいと思いますが、法人向けといった他社がすぐに参入できる分野は、短期でよくても、長期でレッドオーシャン化することが明白です。

一方、『海外に活路を見出す』定番の手法もあります。

日本のマスコミ受けはとてもよいですが、

正直、日本企業の海外事業は、うまくいっているように見せているだけで、実際にうまくいっているところは1割にも満たない状況だと思います。

しかも上場してコンプライアンスなど厳しい縛りがある中、泥臭い中韓、そしてグローバリストのヨーロッパ勢を相手に海外で戦いを挑むのはあまりにも無謀かと思います。

 

イノベーションのジレンマ

今回レアジョブ社はIPOで1.6億円程度調達するそうなので、それで新たなモデルを作れるのか注目したいところです。

 

ただ正直、調達金額からして、今回上場する意味が関係者の実績(経歴?)作り以外あまり感じられないところは残念でもあります(自分の予想を超える戦略があって欲しいですが)。

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